Overseas Theological School News

神学校紹介(1) エディンバラ大学神学部、カルヴァン神学校、ウェスタン神学校、トリニティ・エヴァンジェリカルカレッジ

更新日:2022.08.02

神学は、日本にある大学の神学部、神学校で学ぶことができます。日本に伝道したいという志があれば、日本語で神学し、説教を作成する訓練を受けることが必須です。

しかしながら、現在では、たくさんの選択肢があることも事実です。

わたしは、まずスコットランドのエディンバラ大学の神学部で神学を学び、その後東京神学大学の大学院で学びました。先に海外の神学部、神学校で学び、その後日本で研鑽を積む道もあるでしょう。わたしにとっては、その経験もまた捨てがたいものでした。前提となる知識なしに、優れた神学者の講義や説教を聴くことができたのは、本当に幸いでした。

ただし、神学の基本概念や基礎知識を日本で身に着けておくことは、もちろん大切です。

そこでまず、日本で神学を学ぶことのできる大学、神学校をご紹介しましょう。これらは、歴史があって、これまで諸教派の牧師養成の役割を担ってきた神学教育機関です。

南から北へと紹介します。

 

  • 西南学院大学神学部
  • 関西学院大学神学部
  • 同志社大学神学部
  • 東京神学大学
  • 日本聖書神学校
  • 東京基督教大学
  • 東北学院大学文学部総合人文学科

 

その他、多くの教派の神学校がありますが、ここでは割愛します。

 

このような日本の神学教育を受ける代わりに、グローバル化の進む現在、英語圏の神学校で学ぶ可能性もあります。またすでに牧師となっている方々には、海外の神学校は、多様な学びの機会を提供しています。コロナの拡大以降、諸外国の神学校は、distant leaning のコースを充実させています。Calvin 神学校やWestern 神学校では、ほぼすべての学位は、オンラインで取得可能です。ただし、外国人には、TOEFLやIELTSなどの一定の点数を要求してきますので、日本で英語試験に合格しておくことが大切です。しかし、1年ほど訓練を重ねれば、たとえばTOEFL80点や85点の取得は可能であり、それを通過して、授業料の目途がつけば、オンラインで学生生活が始まります。また、オンラインのみとは言っての、いわゆるスクーリングがあります。一年に1度とか2度、キャンパスにいくことを義務つけているので、その都度アメリカに2~3週間滞在して、学びと経験を深める義務が課せられています。

ここでは、そのうちのごくわずかですが、筆者が実際尋ねたことのある英語圏の神学校を紹介してみましょう。重要なことは、各神学校のHPを熟読することです。そこに学位(degree),

費用(tuition,fee),

外国人学生(overseas  students)に課せられる英語試験の成績、ビザなどの情報すべて書かれています。さらにはメールでの問い合わせも可能です。また自分の学びたい専攻分野の教師がいるかを、各HPのfaculty, staff のページから探しましょう。

 

 

1 エディンバラ大学神学部

>>ホームページ

エディンバラ大学の神学部は、New College と呼ばれています。エディンバラ大学の神学研究の歴史と特色については、2度来日したことのある、David Ferguson(元学部長)教授が、HPのトップページに、Theology in the University of Edinburgh という文章を書いていますNew College | The University of Edinburgh。Ferguson教授は、関川と同級生で個人的なつながりもあります。Fergusonの文章は、御自分の英語の実力をためすためにもぜひ読んでみてください。難なく読めたなら、あなたは、海外で学ぶ準備がすでに整っています!!。

New College は、学問的な水準も高く、神学各分野の教師が揃っています。筆者は、1977年から80年まで、ここで学びBachelor of Divinity を取得しました。学部の神学教育を受けましたが、イギリスでは伝統的にDivinity(神学)の学位は、第二学位となっていて、Master の学位と同等とみなされています。したがって、Bachelor of Divinity を終了して良い成績を収めると、Ph.Dに進むことができます。

エディンバラ大学神学部は、エディンバラのMound と呼ばれる小高い丘の上に立ち、美しいプリンセス・ストリートを見下ろしています。正面入り口を入ると、中庭の左手にJohn Knox 像が見えます。右手に校舎入口が、左手に図書館入口があります。ぜひHPを見てください。

 

2 カルヴァン神学校

>>ホームページ

カルヴァン神学校は、米国ミシガン州南部のグランド・ラピッズにある神学校です。設立は1876年に遡り、Christian Reformed Church(以下、C R Cと略す)というオランダ改革派の伝統に立つ教派立の神学校として、同教派の伝道者養成の業を担ってきました。C R C自体は、全米のプロテスタント諸教派の中で、それほど大きな教派ではありませんが、カルヴァン神学校の教師陣や卒業生の中からは、ルイス・ベルコフ、コーネリウス・ヴァン・ティルなど世界的にも著名な改革派神学者が出ました。

私が、カルヴァン神学校で学んでいたのは、2016年から2018年までの間です。在学中には、ヘルマン・バーフィンクの専門家で知られるジョン・ボルト(John Bolt)教授、ハイデルベルク信仰問答の大家であるライル・ビエルマ(Lyle D. Bierma)教授、アメリカ教会史の重鎮であるジョージ・マースデン(George Marsden)教授、また新進気鋭の礼拝学者であられるジョン・ウィトフリット(John D. Witvliet)教授など、非常に充実した教授陣が教鞭をとっておられました。時代の変化とともに、これらの先生方の中にはリタイアされた方もおられますが、オランダ改革派の伝統を重んじながら、堅実な神学研究が行われている神学校と言えるでしょう。

このように改革派的伝統を重んじつつ、アメリカの多くの神学校と同様に、カルヴァン神学校も、積極的に留学生を受け入れており、学生の構成は国際色豊かなものでした。私が在学中には、残念ながら日本からの留学生は私一人でしたが、アジア系では韓国、中国、インドネシア、ネパールなどから留学していました。またC R Cの海外宣教の関係で、ナイジェリアやエチオピアなどアフリカ出身の留学生もいました。多くの留学生を受け入れてきた経験の蓄積があるので、カルヴァン神学校では、留学生へのサポートも充実していました。Th. Mに入学した留学生は、最初のセメスターでResearch Methodology(研究の技法)のコースが必修科目とされているので英語論文の書き方を徹底的に指導されることになります。この時に学んだ論文作成の技法は、帰国後も活かされています。研究の拠点である大学・神学校共有の図書館(Hekman Library)では、神学の貴重書が充実しており、特にカルヴァンおよび改革派に関する歴史史料については、全米の神学校でも指折りの規模を誇っています。図書館で、Th.M Thesisを書くために勉強していた時間は、日々の仕事に追われる現在、この上ない贅沢な時間であったと思い返します。

また神学校と同じ敷地に立つ教会などでは留学生を対象にしたE L Sを無償で提供しておりましたし、留学生向けの奨学金制度や学内でのアルバイトなどの金銭的支援にも大いに助けられました。さらに、私の場合は、妻を伴って留学したので、家族向けの寮に入居できたことも心強いものでした。教会員・神学校の方も親切であり、留学生同士の交流も盛んでしたので、家族を連れて、アメリカの神学校で学ぼうとされている方にとっては、おすすめの神学校の一つと言えるのではないでしょうか。関心のある方はぜひカルヴァン神学校の公式ホームページをご参照ください。

 

3 ウェスタン神学校

>>ホームページ

こちらは、同じミシガン州のホランド(Holland)にあるRCA(Reformed Church in America)の神学校です。カルヴァン神学校のあるGrand Rapids の隣町ですが、Holland はちょっとごじんまりしたおしゃれな街です。メインストリートには、素敵なレストランやお店が並び、その町のはずれに、神学校があります。赤いレンガ造りの建物群が印象的です。こちらは、隣接地にHope College があります。アメリカ改革派という明治学院をたてたオランダ系の宣教師たちの故郷です。

ウェスタンという名称は、かつてアメリカ中西部にあたるミシガン州が、東海岸から見れば、西のはずれであったために、そこにWestern Theological Seminary がたてられました。

こちらは、カルヴァン神学校よりも、リベラルな雰囲気と神学のカリキュラムが準備されています。

日本の牧師に朗報なのは、オンラインで、Doctor of Ministry の学位がとれることです。この学位は、日本ではあまり知られていませんが、牧会学博士などと訳されて、牧師が牧会をしながら取ることのできる学位です。1990年代にアメリカに滞在していた時、若い牧師は、副牧師として教会で奉仕しながら、プリンストンの神学校に通い、牧会学博士の学位取得を目指していました。ミニストリーを担いながら、神学研究を継続することができますから、日本の教職の学位取得に最適です。オンラインで、日本にいながら、一年に二度、Holland でのスクーリングに参加するようです。オンラインの学びには、もちろん制約もありますが、それを乗り越えて学び、グローバルな文化の中で、自分がこれまで学んできた事柄を再吟味する良いチャンスだと思います。わたしの専門領域と重なる教師に、組織と歴史神学の教授のSuzanne McDonald さんがいます。John Knox のについての入門書や選びについてすぐれた研究書を書いています。また、Hans-luen Kantzer Komline 准教授は、アウグスティヌス研究で知られています。

 

4 トリニティ・エヴァンジェリカル・カレッジ

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トリニティ神学校は、シカゴの郊外にあって、広大なキャンパスを持つ神学校です。Trinity International Universityに隣接しています。日本でも、ここで学んだ牧師は複数いて、活躍されています。わたしは、2014年に訪れました。アメリカ教会史の著名な研究者とお会いする機会も得ました。ちょうど新入の学生たちと外国人の学生たちの歓迎会をやっていて、にぎやかな笑い声に満ちていました。ゴスペルが歌われ、伝統的というよりも、新しい神学の息吹が感じられる神学校でした。学問水準は、きわめて高く、優れた業績を持つ多くの神学教師がいます。ここでもまた、Master of Theology のコースを2年で終了できます。学内に夫婦用の宿舎がいくつもあり、恵まれた環境だなと感じました。組織神学のKevin J.Vanhoozer 教授、カルヴァン研究のScott M. Manetsch 教授などがいます。

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